迷走中の30女生きる

Over30、独身、子なし女のそれなりに幸せな日々を綴ります。

本レビュー「ひろぽと暮らせば 三丁目いちこ著」

三丁目いちこさんのイラストエッセイ「ひろぽと暮らせば」を読みました。

ふと立ち寄った本屋で温かいタッチの絵に惹かれ、購入しました。

巡り合わせを感じるのも、”本の陳列や手書きのポップ、本自体の質感が肌で分かる本屋ならでは”ですね。

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≪内容≫------------------------------------------------------------------------------------------

これは、認知症になった義父を観察、記録し、ただただ面白がっていた嫁による愛に溢れた漫画である――。
認知症を患った80代の義理の父・ひろぽと、その家族による、笑えて温かくて、ちょっと泣ける話。
Instagramで癒やされると話題の漫画が、一冊に。
すぐに忘れたり、突然怒り出したり、しつこかったり。
認知症になった祖父と、時に戸惑いながらも、楽しく過ごそうとした家族の記録。

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認知症って私にとっては身近にある、こわいもののひとつです。

私の祖母は亡くなるまでの4年間、認知症でした。当時、遠方に住んでいた祖母の認知症に気づいたのは遊びに行った私だったので、あの衝撃は忘れられません。

だって、見た目で分からないんだもの。

汚れた下着をキッチンに隠しているなんて思わないもの。 

認知症が発覚してから亡くなるまでの4年間が祖母にとってどんな日々だったか想像もつかないけれど、幸せであったら嬉しい。

 

そして、次は両親の番だなと。

認知症や介護、死がこれから待っているのかと思うと、心がぎゅーっと締め付けられます。両親の老いや別離が悲しいのはもちろんだけど、介護するってどんな困難が待っているのかと思うとこわくなります。

 

そんなびびりで臨戦態勢な私を、この本は「大丈夫だよ、辛いこともあるけど愛しい日々だよ」とそっと温かく包んでくれるものでした。

 

三丁目いちこさんやご家族がどれだけ大変だったかはわかりませんが、この本のひろぽはとってもチャーミングで愛しい存在に描かれています。亡くなった後にこんなにも素敵な思い出し方ができて、それが形になって思い出をみんなにみてもらえるって素敵なことですね。

 

もし両親が認知症になっても、いちこさんのようにおおらかに面白く思う気持ちを忘れず寄り添って一緒に生きていけたら最高だなと思いました。

絵もお話も温かく、冬読んでも心があったまる作品でした。おすすめです。

ひろぽと暮らせば

ひろぽと暮らせば

  • 作者:三丁目いちこ
  • 発売日: 2020/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)