池辺葵さんの漫画「プリンセスメゾン」全6巻を読み終えました。
家を買えば幸せになれますか?という帯に惹かれて、購入しました。
もともと池辺葵さんの「繕い裁つ人」という漫画を読み、世界観や雰囲気が好きなのもあります。
現在、やわらかスピリッツのサイトで第1話、5話、10話、最終話が掲載されています。
≪内容≫------------------------------------------------------------------------------------------
妙齢女子ひとり。自分だけの、安らぎの、大好きな……物件?
モデルルーム見学の常連と化す主人公・沼越(ヌマゴエ)さんは、“たったひとつ”の物件に出会うため、オリンピックを控えた東京を舞台に歩き回る…!?
居酒屋の社員・沼越さんは、モデルルーム巡りを繰り返すも、いまだ”運命の物件”に出会えずにいる。
女子がひとりで家を買うことは、無謀なのか、堅実なのか。
オリンピックを控えた東京で、女性たちが理想の家を求めて歩く、切実で夢見がちな群像劇。
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主人公の沼越さんこと「沼ちゃん」をメインに、話ごとに色んな女性と住んでいる家がでてきます。
女性は派遣だったり、居酒屋の正社員だったり、キャリアだったり様々だし、
出てくる家も賃貸だったり、持ち家だったり多種多様です。登場人物それぞれに合っているような、ミスマッチしているような…。
色んな女性と家が出てくるこの本の良いところは、作者と登場人物との距離が遠いところです。
この世には色んな人がいるということを淡々かつ、表面上だけじゃなくて内側も描かれているので、自分と違うキャリアの女性の話など、すべての人物に共感ができました。
文字のないコマも多く、読み手が都合よく受け止められるのも影響しているかもしれません。
私の好きな登場人物は「要さん」というモデルルームの受付をしている派遣社員の女性です。たぶん自分よりすこし上の年齢の方です。
「沼ちゃん」の働いている居酒屋に「要さん」が偶然来たことがきっかけで二人は友達になります。
「沼ちゃん」と「要さん」の関係性が、上手く説明はできないけど、好きでした。
「要さん」も全6巻の中で、人生の転換期を迎えます。生き方を変えるのはいつだっていいんだって思えて、心強く感じました。
女性が家を買うってどういうことなんだろう。
家を買ったら世界は変わるのだろうか。
どう生きていけば幸せになれるのかわからない。
…なんて考えていた時に出会ったこの漫画は、説教や意見の押し付けをせず、
そっと寄り添ってくれました。
話の他に、「運命の物件」を探すためのチェックポイントという家に関するミニ知識がときどき書かれていて、勉強になります。
おすすめの漫画です。